歯周病について

歯周病は、口腔内に常在している数種類の歯周病原生菌による細菌感染症です。もともとこの世に生まれた時には口の中に存在しない菌ですが、近年の遺伝子解析により親子間で同じ遺伝子を持つ菌を共有していることが判明しました。ただ、今までは同種の菌が親子間に存在することはわかっておりましたが、同じ遺伝子を共有していることが判明したため、明確に家族間感染であると言えるようになりました。子供の頃に同じ食べ物や食器を共有することにより、唾液を介して感染し合うのです。ただ、一般的に発症するのは成人になってからで、体の免疫力が下降し始める30代半ばから症状が現れます。

痛みを伴うことがなく、歯肉からの出血や口臭、そして歯肉が退縮して歯が長くなることにより自覚します。
歯周病が進行すると、歯肉が腫れ膿が出て痛みを伴うようになり、歯が動揺してしっかりと噛めなくなります。当然歯列は変化して下の前歯は重なり合い、上の前歯は歯列が広がりながら外側へ傾斜するようになります。そのまま放置すると歯は自然に脱落します。

ただ稀に学童期に発症する侵襲性歯周炎という歯周病もあります。これは一般的に言われている成人型の歯周病菌とは異なる悪性度の高い種類の菌が関与しております。

どちらの型の歯周病であれ、重要なことは感染症であることを忘れてはならないのです。一度感染した菌は歯周組織を破壊しながら歯の周囲に歯周ポケットを形成します。そして根面に沈着している歯石の中や直接根面にバイオフィルムという菌のコロニーを形成し、さらに歯周組織を破壊していきます。そしてその菌たちは、まだ歯周病が進行していない別の歯へと感染します。また、深い歯周ポケットほど、急速に骨を破壊する悪性度の高い菌が住み着くようになります。